• 検索結果がありません。

第 3 章 タイプセット仕様とシェルの用法 69

3.2 シェルの取扱い

3.2 シェルの取扱い

あらたに文書を作成する場合,まず最初に基盤となるシェルを選択します. それが指定されると プログラムは新たな文書を開き,その中にシェルをコピーします. この過程でシェルの持つ種々の 文書属性(タイプセット用仕様,画面表示用仕様,等)が新たな文書に受け継がれます. 従って新 文書の初期状態はシェルと全く同一です. すなわち同一のドキュメントクラスと文書構造を持ち, 同一のLATEXパッケージを使用し,印刷結果も同一です.

3.2.1 シェルの選択

プログラムのShellsフォルダ内には150種以上のシェル(.shlというファイル拡張子を持 つ)が格納されています. 多くの汎用的なシェルに加え,特定の大学や学会誌の要件を満たすべく 作成されたシェルも含まれています. これらのシェルは次のような区分の文書を作成するために使 用されます(Shellsフォルダ内のサブフォルダの構成にも反映されています):

• Articles–学会誌等への投稿を企図して作成される論文タイプの文書

• Author Packages for AMS– American Mathematical SocietyAMS)によって出版 される雑誌や論文集向けのarticles

• Books–書籍型の文書

• Exams and Syllabi–授業での使用を企図した短めの文書

• International–英語以外(ドイツ語,ロシア語,ギリシャ語,中国語,日本語,等)の文書

• Other Documents–ファックス,手紙,メモ, OHP用スライド,等の雑資料用

• Scientific Notebook–Scientific Notebookを用いて作成された文書

• Standard LaTeX– LATEXのベースドキュメントクラスに基づき作成されている文書で パッケージを使用していないもの

• Style Editor– Style Editorを用いて作成された文書

• Theses–いくつかの大学における論文作成要件を満たす文書

¡

J✁ 日 本 語 文 書 用 シ ェ ル で あ るjarticle, jbook, jreport, jsarticle, jsbookは 上 記Standard

LaTeXの区分に含まれています.

これら製品提供のシェルをベースにするのではなく,独自のシェルを新たに設定することも可能で す. 89ページを参照ください.

多くのシェルは似たところがありますが,全く同一というものはありません. ある種のシェルは 書籍に共通の構造と要素を持った文書を生成します.またあるものは論文や報告書に適した文書を 生成します. 簡素な表題部しか持たない文書を生成するものもあれば,独立した表紙,目次,図表一 覧,謝辞,序文を生成できるシェルもあります. あるシェルは1段組みで文書を作成し,別のものは 2段組みで作成します. 多様な定理環境を生成できるシェルも多数存在します.

新たな文書,特に複雑な構成を持った文書を作成する場合,シェルの選択は慎重に行う必要があ ります. 選択したシェルがニーズに合致したものであることを十分確認してください. 手紙用の シェルで書籍は作れませんし,報告書(レポート)用シェルで論文を作成するのも適当ではありま

せん. 選択したシェルが用途に適したタグを用意しているかも確認すべきでしょう. 例えば定理型 環境の設定が必要な場合,それに適したタグを持ったシェルを使用することが肝要です.

タイプセット要件が余り明確になっていない場合には,標準のLATEXシェルのいずれかを使用 することを推奨します. これらの標準シェルは最も柔軟性が高く,また移植性(portability)にも 優れています. 標準のLATEXシェルにLATEXパッケージを組み合わせることにより大半の文書作 成ニーズに対応できます.

Important 出版社からの要件等,特別な事情がない限り,標準のLATEXシェルのご使用を強く推 奨します.

製品CD中にPDFファイルとして格納されているA Gallery of Document Shells には,プロ グラムで提供されている各々のシェルを用いて作成されたサンプル文書が掲載されています.サン プルをチェックし,それがどのようなフィーチャを設定しているか例えばヘッダーやフッター の有無,ページ番号や脚注の配置様式,余白の大きさ,見出しの様式,フロントマターの構成,段組 みの有無,等々を調べてみてください. 選択したシェルがニーズに合致したものであればある ほど,タイプセットの作業は容易になります.

SWPSWを起動すると,デフォルトのシェルを用いて白紙の文書が開かれます. そのシェル が作業に適したものであればそのまま文書の作成に取りかかれます. しかし別のタイプの文書を作 成したい場合には,異なるシェルを用いて新たな文書を開きます. デフォルトのシェルの設定は適 宜変更できます.

◮デフォルトシェルを用いて新たな文書を開く

• SWPSWを起動します.

プログラムは自動的に白紙の文書を開きます.

◮特定のシェルを用いて新たな文書を開く

1. 標準ツールバーの新規作成ボタン をクリック,またはファイルメニューの新規作成を 選択し,新規作成のダイアログボックスを開きます.

2. ダイアログボックス中のシェルフォルダの一覧より文書タイプを選択します. 3. シェルファイルの一覧より適切なシェルを選択し,OKボタンをクリックします.

作成対象の文書がほとんど皆類似している場合,デフォルトシェルの設定を変えることにより手 間を省くことができます.

◮デフォルトシェルの設定値を確認する

1. 編集ツールバーのユーザ設定ボタン をクリック,またはツールメニューのユーザ設 定を選択し,起動時文書タブを選択します.

強調表示されているのがデフォルトシェルです. 2. OKボタンをクリックします.

3.2 シェルの取扱い 89

◮デフォルトシェルの設定を変更する

1. 編集ツールバーのユーザ設定ボタン をクリック,またはツールメニューのユーザ設 定を選択し,起動時文書タブを選択します.

2. シェルフォルダの一覧より文書タイプを選択します.

3. シェルファイルの一覧より適切なシェルを選択し,OKボタンをクリックします.

3.2.2 文書の様式調整

タイプセット要件をほぼ満たすシェルを使って新たな文書を開いたら,それに名前を付け一旦保 存します. その後で要件に100%合致するよう文書の様式調整を開始します. 最終的に様式調整が 完了した時点で,それを新たなシェルとして保存(v4.0,もしくはそれ以降の場合はエクスポート)

します.

この様式調整をSWPSWを用いずに行うこともできますが,本マニュアルでは次のような 形でSWPSWを介して行う調整手法に焦点を絞ります:

• ドキュメントクラスオプションの調整(78ページ参照).

• LATEXパッケージの追加と削除(80ページ参照).

• LATEXパッケージオプションの調整(84ページ参照).

• プリアンブルや本文内へのTEXLATEXコマンドの設定(85ページ参照).

これらの手法はしばしば文書中にTEXLATEXのコードを埋め込む操作を伴います. 中には SWPSW で の 解 釈 を 経 ず し て, タ イ プ セ ッ ト 時 に 直 接LATEXpdfLATEXに 引 き 渡 さ れ る コードもあります. 従ってLATEXエラーを招かぬようコマンドの構文には注意を払う必要があり ます. 誤ったTEXLATEXのコードは文書を破損する可能性もあります. タイプセット仕様の調 整,変更を行う場合には,事前に文書のコピーを保存しておいてください.

Important TEXLATEXコマンドは正しく設定してください. 誤ったコマンドは文書を破損す る恐れがあります.

3.2.3 シェルの作成

普通の文書をShellsサブフォルダの一つにシェル形式で保存することにより独自のシェルを 作成することができます. 目的のデザインに合致する文書が作成できた場合,それをシェルとして 保存しておけば再利用が容易になります. 同様に外部の機関例えば出版社等 からタイプ セット仕様やシェルを入手した場合,それらは保存しておくと良いでしょう. 外部から入手した シェルやタイプセット仕様の用法については91ページを参照してください.

もちろん,通常のSWPSWの文書.shlという拡張子は付いていませんが をシェル として利用することもできます. しかしシェルとして登録しておけば,大切な文書に対して不用意 な修正をかけてしまうといったリスクを避けられます. またShellsサブフォルダの一つにシェル として登録しておけば,新たに文書を作成する際,その名前がシェルの一覧に表示されますので便

利です. Shellsサブフォルダは新規に作成しても構いません.

v4.0,もしくはそれ以降のバージョンでは.shlファイルとしてエクスポートという形でシェル

を作成します. それ以前のバージョンでは名前を付けて保存コマンドを使用します.

◮シェルを作成する

1. シェルとして利用したい文書を開きます.

2. v4.0, もしくはそれ以降のバージョンをお使いの場合,ファイルメニューから文書のエクス

ポートを選択します. または

それ以前のバージョンをお使いの場合,ファイルメニューから名前を付けて保存を選択し ます.

3. シェルの保存先を選択します:

(a)保存する場所のボックスでShellsフォルダを選択します.

(b)既存のサブフォルダを選択するか,もしくは新たなサブフォルダを作成します. 4. ファイル名のボックスにシェル名を入力します.

ファイル名にはスペースやアルファベット以外の文字を使用しても構いません. 5. ファイルの種類のボックスでShell (*.shl)を選択します.

6. 保存ボタンをクリックします.

次に新規作成コマンドを選択すると,該当するShellsサブフォルダのシェル一覧の中に新 たなシェル名が表示されます.